具体的な例を出して、その解決策を教える「ケーススタディ」があります。
今回は「ケーススタディは役に立たない」というお話です。
さて、ケーススタディを知りたがる人っていますよね。
「この時はどうしたら?」「こうなった場合はどうすれば?」「このような場合は」とケース毎に答えを確認する人。
アナタの身近にもいませんか?
同様に過去の事例。
これも同様です。「このケースの場合は・・・」「こういう状況の場合・・・」
具体的な答えが無いと不安になるタイプなのでしょう。
ケーススタディはそのままでは何の価値も発揮しない
ケーススタディは具体的な事例ごとにその解決策であったり、失敗例を取り上げています。
実は自分の経験した事のない、あるいは遭遇したことの無いケースに対して対策や失敗事例を知ることが出来るケーススタディや事例と言うのは非常に有効な情報です。
おや?冒頭と言っている事が違くない?と思う人がいると思います。
そうなんです。ケーススタディは非常に役に立つ情報であり、まったく役に立たないものでもあるんです。
ケーススタディは見たまま、聞いたまま記憶するだけでは何の価値もありません。無価値と言っていいです。
ケーススタディに書かれている状況と完全一致はありえない
なぜケーススタディはそのままで価値が無いのでしょうか?
答えは簡単。
ケーススタディに書かれている条件と全く同じ状況になる事が無いからです。
過去の事例も同じです。
表面的な事象は同じでも、周辺の環境が異なります。究極的な話をしてしまうと時間が違います。これも環境の変化が発生しています。
そうなんです。そこに書かれている環境と同じになる事がありえない訳です。
ケーススタディの価値を高めるために必要なチャンクアップ
では、ケーススタディの価値を高めるためにはどうする必要があるのでしょうか?
ケーススタディは環境を含めて具体的な事象に対する話です。
この具体的な事象を有効に活用する為には事象を抽象化する能力が必要になります。
チャンクアップと呼ばれます。
物事を抽象化して考える。抽象化される事は物事の本質に近づく事と同義です。具体的な情報には本質的ではない余計な情報が混じっています。抽象化する事で余分な情報をそぎ落として必要最低限にして本質を見極めていく。
抽象化とは決して曖昧にする事ではなく、最低限の原因に絞られている状態にする事です。対策も同様です。余計な情報を取り除いた本質に対しての対策です。
この事を知っている人はケーススタディを見るとチャンクアップして本質を理解し自分の知識にする事が出来ます。
ケーススタディを実践で活用する為に必要なチャンクダウン
さてチャンクアップをする事で本質を見極める事が出来ました。これは料理に例えると素材を手に入れたのと同じです。この素材は真の意味で活用するためには別の事象に具体化する能力が必要になってきます。
これがチャンクダウンです。
今自分が置かれている状況に当てはめてみたりする事です。
こうする事でケーススタディで学んだ事を自分の環境に当てはめていく事が可能になります。
抽象化されたケーススタディを多く持つことの意味
ケーススタディをそのものを多く仕入れても、環境が異なる話なので全く役に立たない事は既に説明しました。
しかし、抽象化(チャンクアップ)する事で、その本質だけを取り出して身に着ける事で非常に価値が高まる事も前述の通りです。
より多くの抽象化された知識はより複雑な状況の変化にも対応する事が可能になります。
組み合わせのパターンが無限大になります。
具体的なケーススタディが融通の利かない一本道だとすると、抽象化されたケースは組み合わせの自由度が高く複雑な回路を形成します。解決策のパターンが一気に増える訳です。
これを手数が増える、引き出しが増えるなんて言う人もいます。
読書を活用してケーススタディを爆発的に増やす
ケーススタディとは別に自身の経験を正しく活用する為にもチャンクアップは重要なスキルです。
しかし経験だけでは得られる知識が限られます。人間の時間は有限なリソースです。
経験で得られる知識は時間に大きく制約されます。
そこで重要になってくるのが読書です。
読書は他人の経験を丸々自分の体験の様に得る事が可能です。しかも、体系的に纏められているので非常に取り込みやすい。
しかし、読書でも大切なのは「抽象化」です。
読書で得た知識もチャンクアップして蓄積する事で様々な箇所で活用する事が可能になります。
そして読書は人間が持つ時間の制約は大幅に緩和します。普段なら経験する事が出来ない事をたやすく手に入れる事ができるからです。
読書をする事は人生の時間は太くする事と同じなのです。
まとめ
今回のお話のまとめです。
ケーススタディをそのままでは全く価値がない。チャンクアップして蓄積する事で様々な所で活用する事ができる価値のある情報になり得る。
そして、正しくチャンクアップしたケーススタディを手に入れる事は自身の経験を増やす事と同じで、読書をする事は短期間で多くの経験をする事と同義で人生の時間を太くする事である。
と言うお話でした。
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