IT技術者を安売り?1000万の案件を300万で受注したつぶやきを見て思う事

IT業界
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空き工数について考察してみる

このTweetがバズっています。IT業界に限らずある闇と言えます。

呟いた人によると、この会社は倒産した模様です。

このつぶやきに対して、待機工数についてのツッコミが入り、ちょっとホットな会話が展開されておりました。

空き工数で売上「\0」にするより、二束三文でも売上を計上した方が経営的には良いでしょ?ってツッコミなんですが、この辺りの考え方がこの業界の闇だったりするんでしょうね。

この方も前提の認識が異なると言う事で落ち着いた様です。

これを自分なりの解釈を書いてみたいと思います。

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技術者の工数を在庫として考えている?

ここでのポイントは技術者の工数をどう考えるかです。

技術者の稼働を在庫感覚で見ている人がいます。
考え方として技術者の稼働により売上が発生すると考えると、技術者の稼働が売れると売り上げが立つと言う図式になり、技術者の稼働が在庫という風に考えられなくもない。実際に残稼働可能工数(キャパシティ)に想定単価をかける事で、売上見込みを立てたりもします。

実際のモノの場合、在庫は資産として取り扱われます。大雑把に言えば、在庫×単価で売上が立つ分の資産価値を持ちます。売れなくとも在庫として「数」は残り続ける訳です。しかし、技術者の稼働の場合は違ってきます。

放っておくと「\0」で稼働工数が消費されてしまうんです。稼働工数は言い換えれば稼働できる時間な訳で、何もせずに時間が過ぎ去ると価値が「\0」になります。

二束三文でも構わないから売ってしまった方が売上的には「\0」よりマシと言うのが、ツッコミを入れた人の理論という事です。売上が「\0より少しでも売り上げが立つ方が経営的には正しい!という主張です。

未来の資産を無駄に食いつぶしている事に気が付いていない

技術者の稼働工数は在庫と同じな上に、放っておくと売上が「\0」で固定費分、そのまま赤字だから二束三文でも赤字を減らすのが経営的に正しく、経営陣に怒られるのはやはり技術者である。これは正しいのでしょうか?

在庫と言う視点に囚われすぎていて、非常に重要な事を見落としています。未来の売上を二束三文で売っている点です。

稼働工数を在庫として見ているが故に、売れば良い感覚になってしまって判断がおかしくなっています。今、二束三文売っているのは捌ききれなくなったダブついた在庫不良在庫ではなく、これから売上となる技術者の工数です。

ここで営業が踏ん張って条件の良い案件を探してくるだけで状況が大きく変わった筈なんですね。そこに気が付けていない事が、このつぶやきの一番を大きな問題です。

つぶやきを例にシミュレートする

つぶやきの例で試算してみましょう。この案件ですが、技術者は「1000万でギリ」と言っています。計算しやすく考えると100万/月だとして、10人月分の作業だと仮定します。これでトントンです。

これを300万円で受注しているので、300万(受注金額)-1000万(固定費)=-700万

700万円の赤字です。

さて、この案件を3人で3ヶ月強で回すと考えます。

営業がこの案件を見送り、条件の良い案件を見つけると判断して、1ヶ月間技術者が空きになったとします。

100万×3人月=300万

300万円の赤字です。

しかし、この後に6人月(工期3ヶ月)の案件を今度は720万で受注できたとします。

720万(受注金額)-600万(固定費)=120万

プロジェクト単体として120万の黒字です。

プロジェクト単体は120万の黒字ですが、先の赤字があります。

-300万(赤字)+120万(プロジェクト黒字)=-180万

赤字は赤字なんですが、同じ3ヶ月の期間での赤字額が全然異なってきます。

-700万の赤字と-180万の赤字。520万も差が出ています。

さぁ、さらにこの空いた1カ月間を使って技術者に有益な教育が出来たとしたなら、未来投資が出来たら、さらに状況が変わってきます。

稼働工数は不良在庫ではなく優良な経営資源

さて、こうして考えると歴然の差が生まれます。技術者の稼働工数は在庫ではありません。稼働工数を在庫とする考え方をした時に、とにかく在庫を捌けさせる考え方がどうしても出てきます。要するに「空きを埋める」行為に走ります。こう考える営業が本当に多い。

  • とにかく売る
  • とにかく埋める
  • 売れれば良い

この辺の感覚で、売ってしまえばノルマ達成の様な、あとは開発側で努力して利益を出してねってスタンスの人も多いですね。
開発期間内拘束されてしまうという事を本当に考えていません。拘束され期間分、安く売ってしまって赤字を無駄に膨らませている感覚がない。しかし、少し視点を変えて試算してみれば答えは明白です。

稼働工数は在庫ではなく、未来の価値を生む優良な経営資源であると認識する必要がありますね。間違ってもこのケースで技術を怒る事は無いようにしないとです。

ちなみにこの会社は無くなったそうです・・・そりゃそうですよね、経営資源の無駄遣いを繰り返した結果だと思います。

※ここで書かれている表現はわかりやすく超単純化されています。

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