SEにとって最も重要な事はお客にしっかり意見が言える事

IT業界
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前回の失敗記事。

大失敗の内容とその大失敗の原因をまとめた記事です。

【知らないと損をするSEの失敗談】作業が明確になっていない請負はしない
失敗から学ぶことは大いにあります。 私もIT業界に長きにわたり身を置き、様々な失敗をしてきました。 失敗の数だけ成長もしてきたと思います。 その数々の失敗を公開する事で他の皆さんの何か助けになれば幸いと思って、「SE失敗物語」を書いてみまし...

こちら多くの反響を頂きました。

しかし、この後に要件定義のやり直しと顧客と営業のプレッシャーと非常に長い長いトンネルがある訳です。このトンネルを抜けるきっかけの出来事が、今日の私の礎になっていると過言でもありません。

私はこの件をきっかけに色々成長できたと実感しています。

それは自分の中で仕事に対する心境の変化があったからだと確信しています。

聞く人によっては「なんだ、当たり前の事だろ」と思うかもしれません。しかし、新しくSEを目指す人だったり、今悩んでいる人に是非とも読んでもらいたいと思います。

これは完全に精神的なものです。私自身はテクニックでもなんでもないと思っています。「なんだ気持ちの持ちようか」「根性論とか精神論か」と思う前に目を通すだけ通してみて下さい。

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前回のおさらい

記事を読んでいない人の為に簡単におさらいだけ(詳しくは記事を読んで!)。

派遣先で要件ヒアリングの前になぜか受注していた請負案件をやる事に。「出来る所までで大丈夫だから」の営業の一言を信じ開発を始めるも納品後に顧客から大クレーム。

改めて交渉(謝罪?)に行った営業が持ち帰ったきたのは開発のやり直しだった。

と言うあらすじです。

開発やり直し!!となった所から今回のお話はスタートします。

要件定義のやり直し

「こんな仕様で作ってくれなんて言っていない」「こちらが欲しい機能はこんなのじゃない」と、こちらが伺っていた「EXCELで管理している顧客情報をWebで検索したい」の話から、どうしてそんな齟齬が出るんだという位、無茶苦茶を言われています。

こうなってくると現行で作っていた機能は一旦ご破算として、まったく一から構築をしていかないといけない事になります。

改めてヒアリングをしてみると、当初聞けなかった(言わなかった)要件が沢山出てきました。

まず最初に聞いた要件はコチラです。

セミナーやカンファレンスに来た人の名刺をExcelに入れて管理している。Excelだと検索が大変だったりするので、Webシステムにしたい。検索で使っている項目で必須はコレとコレトコレ。
納期は1ヶ月後。

そして改めて要件をヒアリングした結果がコレです。

セミナーやカンファレンスに来た人の名刺をExcelに入れて管理している。セミナーに来るのはカスタマーだけでなくパートナーもいる。パートナーの中でもランキングが決まっているのでそれも検索したい。
カスタマーとパートナーは分けて管理する必要がある。現状でもパートナーはカスタマーとは別のEXCELで管理しているので管理している項目も異なるが一元的に利用出来る様にしたい。
また、企業情報を検索項目に設ける必要がある。企業情報はD&Bのデータを購入しているので、それをインポートして利用する。

いやぁ、育った。要件が育っています。

なんだパートナー情報って!?別のEXCELで管理????

D&Bのデータを使って検索!?インポート???

今でこそ冷静に要件を見れますが、当時の自分は「クレームが入った」「無償でリカバリーをしないといけない」「要件定義からやり直しだけで顧客は急いでいる」と言ったプレッシャーから、この規模の要件でも頭はパンクしてしまう状態でした。

頭の中がどうなっていたかと言うと・・・

顧客データの精査をしないと・・・あ、カスタマーとパートナーをわけるからテーブルの設計を・・・その前にパートナーのデータの精査を・・・企業情報が必要だからD&Bのデータを洗わないと・・・その前に顧客データと紐づけを考えないと・・・

こんな感じでまったくまとまらないで作業が手につかない状態で頭の中を考えだけがグルグルと回ります。

そんな状況でも顧客から「これを検索項目として追加したい」「カスタマーとパートナーは横串で検索したい」「インポートデータにこの項目も追加したい」と矢継ぎ早にメールが来ます。

これは営業が「今回は納期が過ぎていてこちらも急ぎで対応したいので要望があれば早く連絡を入れて欲しい」とありがたい一言を放ったおかげです。

こんな状況もあり、やらなくてはいけない作業は頭が飽和状態で効率が非常に悪く、でも追加で作業がどんどん増えていく悪循環環境がありました。

人は頭がパンク状態になると生産性が著しく落ちます。効率が悪くなるだけでなく判断力も鈍ってきます。なので打合せや顧客の要望に対しても反応が鈍化したり、なんでも「はいわかりました」と請けてしまったりと本当に状況は悪化するばかりになります。

この状態に陥ると落ちていく一方です。実際に私自身も前回の記事で書きましたが、食事も喉を通らなくなり、昼休みに公園のブランコで一人で時間を潰す毎日となりました。今より「鬱」に関して情報が無かった時代でしたが、この時に病院に言っていたら「鬱」と診断されていたかも知れません。

いつまで続くんだろうと悶々とする日々で・・・

汚い話ですが、ずっと下痢も続き食事も何とか無理やり食べるくらい。仕事以外では誰とも会話をしない。そんな日々が続いていました。顧客からの要望も止まらず、要件がまとまる気配がなく、いつまで経っても開発が収束しそうにない。

いつまで続くんだろう・・・

本当にそんな事ばかり考えていました。

最初の内は営業にも「これまとまらないですよ?終わらないですよ?要望止める様に言ってください」と相談していたのですが、「とは言っても今回はウチに非があるから」と取り合ってくれません。

ウチじゃなくてオマエだろ!!

と心の中で何度思った事か(笑)

まぁ、営業に行っても埒が明かないのであきらていました。

状況を変える一言

そんな状況の中、今日も顧客と打合せがあります。

また、あーだこーだと好きな事を言ってまとまらないんだろうなぁと思いつつ打合せに挑みました。

案の定「あーだこーだ」が始まります。

また「検索項目を増やしたい」「こういう検索のケースもある」と顧客内部で議論が始まり、また要件を拡散させようとしている顧客を見ながら私自身の中で何かリミッターが外れたのを感じました。

そして、こう口にしていました。

「これではいつまで経ってもまとまらないですよ?」

みんな驚いた様子で私を見ます。私は続けて言います。

「あれもこれもと思いつくままに言われても話はまとまらないですよね?本当に必要な事をしっかり実装しましょう」

この一言で空気が一変しました。

「た、たしかにそうですね」

これまで、あれしたいこれしたいとなっていたお客様の態度が変わります。

「今回、最低限必要なのはコレとコレだけど実装できそう?」

「どうやったら良いか出来る出来ないも含めて提案してほしい」

そうなんです。開発の主導権が戻って来たんです。開発の主導権が戻ってくる事で「その機能は実装に時間がかかる」「こうだったら出来る」などとコントロール可能になってきました。

これ以降、作業量は多かったのですが、その作業量の多さも顧客の理解をしてもらいながら何とかゴールまでたどり着く事が出来ました。

開発の主導権を握る前と後では完全に精神的な負担は違いました。

顧客は専門家としての意見を聞きたがっている

一番最初の開発の際は要件ヒアリングはしたものの、実際にそのシステムをどの様なシーンで使うかも考えずに顧客の言うものを、そのままシステム化しようとしていました。

開発やり直し後は、クレームが入ったとショックと何とかしろのプレッシャーで、何でも「はいはい」と受け入れようとして収束しない事態を招きました。

その状況で「本当に必要な事をしっかり実装しましょう」と提案(提案と言う程のものではありませんが・・・)が出た事で、こちらの意見をしっかり聞いてくれる耳を持ってもらえました。

この時思ったのが、顧客はこちらに専門家としての意見を求めている事です。

好き勝手言っている様ですが、実はどうにかして欲しい思って相談しているという事なんです。

我々エンジニアの仕事は「システムを開発して導入する」事ではなく「システムの利用者に最適な道筋を提供する」事なんですね。

「言われるがまま」では無く、「限られた時間と予算で如何に最適なシステムを提供できるか」が仕事です。その為には予算超過や時間がオーバーになる事、あまり費用対効果が出ない要件などに対して、しっかりと意見をする事が求められている訳です。

当たり前の事でも悩んでいる人には当たり前じゃない

さぁ、これまで書いた事。すごく当たり前の事ですよね。すごく当たり前の事なんです。でもこれが実際に自分が陥ってしまうと非常に厄介なんです。

ある意味顧客に強い態度を取る事なんですが、潜在的にお客に強い態度を取るのはNGと思い込んでしまっている人が多く見受けられます。ましてや、自分が不利な状況で強い態度を取ると、顧客がさらに態度を硬化させてクレームになって大ごとになってしまうんじゃないかと思いがちです。最悪のケースでは契約破棄になんて事も。そうなると大きな損害が出てしまう。

なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ・・・

こう思っている内に袋小路にハマってしまって出口が無くなってしまう人も多くいるんじゃないかな。でも出口は無くなってないんですよ。見えてないだけ。見えてないと言うか、その出口は使っちゃまずいって思っている、思い込んでいる。

でも、考えてみて下さい。全てを無責任に放り出して逃げ出すならともかく、しっかりとした信念をもって「このまま行ったら絶対にダメになります」と言う事は、非常にお客様の事を考えた意見なんです。顧客の為になるなら言っても良いんです。

お客が怒ったとしても、しっかりと自分の信念を伝えましょう。必ず伝わります。そうすればどうすれば良いのか前向きな議論が生まれます。私はこれで変わる事が出来ました。

今、悩んでいる人も自分の考えている事。もちろんエンジニアとしてプロフェッショナルとして考えている事をしっかりとお客に提示する様にして下さい。

なんでも「はいはい」、大変だから「それは無理です」は無責任

プロフェッショナルとしてしっかりした意見を言うのは正しい事。

だからこそ、その逆は絶対にやってはいけない事。

なんでも「はいはい」言って、結果出来ない。

本当はやれるけど大変そうだから「それは出来ません」と言ってお客に不利益を被らせる。

こんな事は絶対にやってはいけない事です。

しかし、駆け出しのエンジニアは、大変そうだから「無理無理」ばかり言って、顧客の怒りを買い、なんでも「はいはい」と言わざるを得ない状況になってしまっているんじゃないでしょうか?

私が得た教訓

この件で私が得た教訓は顧客はプロフェッショナルの意見を求めているです。

それが強い態度になっても「正しい」と言う信念を持った意見なのであれば貫き通す。

そうしないとお客は路頭に迷って右往左往してしまいます。自分がプロフェッショナルとしてしっかりと先導していく必要がある。これが今回得た教訓でした。

この教訓は今でも私の中で強く生きています。

これからSEを目指す人、今まさに顧客に意見を言えずに袋小路にハマってしまっている人は、この事を実践してみて下さい。

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