「あなたたちは私の言う事を聞けば良い」と言い放った剛腕PM

IT業界
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もうかれこれ15年ほど前の出来事です。

とある大炎上プロジェクトに従事していた時の話をさせてください。

たくさん思い出がありすぎて話がまとまらないかもしれませんが・・・

「日本企業の大企業の大規模プロジェクトに参加していて大炎上案件だった」と言えば、香ばしい感じかありませんよね。

それでは、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

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劇場型大炎上プロジェクト「あなたたちは私の言う事を聞けば良い」

まさしく劇場でした。毎日何かが起きて、毎日ハラハラドキドキ。

しかしながら、みんながこの難局に乗り越えて!なんてプロジェクトXみたいな事はありません。

実際は各人たちの保身保身、また保身。様々な会社の思惑と人間模様が複雑に絡んだ壮大なドラマが繰り広げられていました。

オフショアから国内開発への切り替え

簡単にプロジェクトの概要を説明しておきます。

某大手企業のECサイトのマイグレーション案件となります。

旧システムが何で動いてたのかは知りませんが、市販のERPパッケージをカスタマイズして新環境に移行するプロジェクトです。

本プロジェクトは国内で要件定義を行い、海外で開発をするオフショア開発でした。

当時、オフショアはまだまだ始まったばかりで知見も無い状態でのスタートだったのではないかと思います。成功事例も少なく手探りの状態だったと想像します。

想像しますが・・・こんな大規模でやる事はないんじゃない??

今でこそオフショアは当たり前になりましたが、知見もクソもなく、世の中では失敗事例しか聴こえてこないような状況で、いきなりこんな大規模のプロジェクトをオフショアでやるってチャレンジャーでしかない。

この時点で選択を誤っている気がしなくもないですが・・・

私自身、このプロジェクトは途中参画でした。そうです。よくあるタイプのあれです。

炎上してから参画

物語はここから始まります・・・

カットオーバー2ヶ月前での参画

「カットオーバー2ヶ月で参画」

と聞いて何を考えますか?

まず案件の規模が気になりますよね。数人月程度の規模の案件の場合は、ありえる話だと思います。

案件の規模としては、稼働している人数からして数億~10億規模のプロジェクトだったと想定されます。

さて改めて聞きましょう。

「数億規模のプロジェクトのカットオーバー2ヶ月で参画」

どう思いますか?

勘の良い人ならわかると思います。

このプロジェクトやべぇ

まぁ、そうなんです。やべぇプロジェクトです。

案件を断るこ選択肢もありました。

しかし、当時社畜として「火中の栗を拾う」マインドを植え付けられていた私は、このプロジェクトに参画する意思を固めます。

こういった誰もやらないプロジェクトに飛び込んでいって解決して信頼を取るのがビジネスマンだ!なんて本気で思っていた時期が私にもありました(遠い目)

そんなやべぇプロジェクトへ参画する事がきまりました。

想像以上の大炎上っぷり

さて、そんな私がついに2005年12月1日にプロジェクト参画します。

先ほども触れましたが某ERPパッケージのカスタマイズ案件なんですが、その某ERPパッケージを触ったことが3ヶ月くらいしかない私でもすんなりと採用となった案件です。

まともなわけありません

なんですけど、想像を遥かに超えていました。

想像を絶する出来事1「某ERP未経験者も大量採用」

プロジェクトに参画して驚いたのが同日に参画する人が多いこと。

テスターの名目でプロジェクトに参加です。

しかも、テスターなので某ERP経験が少ない人たちがほとんどです。

とにかく人を集めた感じで、頭数があればそれだけ期間が縮まると思い込んでいるやべぇやつがいる証拠です。

しかもテスターとはいえベースとなっている某ERP未経験、もしくは経験が浅い人達がほとんどなので、状況はひっ迫している状態です。

想像を絶する出来事2「テスト開始も中身スカスカ」

さて、テスター名目で参画した私や周辺の人たちでした。

「この部分テストしてください」

とリーダーから口頭で指示がありました。

テストもテスト仕様書の様なものではなく、なんかよくわからんスカスカで画面レイアウトだけ記載されている機能設計書を渡されただけ。

実際に画面レイアウトに基づきテストを開始すると、まず画面のレイアウトが設計書通りではない。

コンボボックスを展開しても選択候補が無い。ボタンを押しても反応しない。反応してもエラー画面になる。

全く動きません。

カットオーバー2ヶ月前なのに中身スカスカです。

想像を絶する出来事3「出来ていない箇所は国内開発の謎方針」

マジでとんでもない所に来ちまった!と思ったのが3つ目の出来事。

実はテスターとして参画した私だったのですが、12月1日の時点で方針転換されていたのです。

その方針とは、「出来ていない箇所は国内開発で仕上げる」となっていました。

開発要員は今いる人間。

まてまてまて~!!

テスターで未経験か経験浅いやつしかおらんやんか!!

しかも、「出来ていない箇所は国内開発で仕上げる」ってほとんどやん!

こんな状況が参画当日に判明しました。

見えてくるパワーバランス

さてさて、そんなこんなで参画したプロジェクトですが、参画している人たちがめちゃくちゃ多かったですねぇ。プログラム開発や基盤設計、DBも専属のチームが編成されています。ECサイト以外にも物流関係も絡むのでそちらの開発部隊もいたりします。常時70名くらい稼働していたと思います。

最初はよくわからなかったですが、所属している会社、どの会社がどの会社と関係あるのか?徐々にそういった情報が見えてきます。

そうするとですね日本企業のドロドロした関係が見えてきます。

親会社と子会社からぶら下がり的な関係。

某ERP開発界隈の力関係もあります。

私の会社は子会社でもなければ、某ERPにも参画したばかり(私が実質エンジニア1号)だったので、そういった会社間の関係に振り回されたりしないので気が楽でした。

こんな会社で契約が流れています。

親会社(発注元)→子会社(一次請け)→関係会社(二次請け~)

こんな流れですね。関係会社はもう多重です。

親会社

トラディショナル日本大企業さんです。

「仕事を出してやってる」感がすさまじい。「お前らに仕事を出してやっている俺は偉い」感を常にだしてきます。本プロジェクトの統括PMも当然、こちらの親会社さんの方です。

この親会社の内部でも上下があって、仕事を出している大元の部署と請けている部署とで力関係があります。同一会社なのにまったく頭が上がらず罵声を浴びせられている場面も数多くみました。

子会社

子会社は親会社に逆らえません。

いや、親会社の人達の子会社に対する当たりがすごかったのを記憶しています。

あきらかに下に見ている感じ。常に罵声でした。

そして、子会社のトップは親会社の前ではおとなしくだんまりでヘコヘコしているのですが、居ないところだと威張りだします。まぁ滑稽なほど手のひらをコロコロ返してきます。

関係会社

関係会社は千差万別でしたねぇ。

私の様にしがらみがない人もいますが、そこはやはりトラディショナル日本大企業。お仕事沢山出してくれます。そんな会社の甘い匂いに誘われた私はカブトムシです。

まぁ、べったりですね。子会社さんだって親会社さんから流れ来る仕事を下流に流しますよね。その量たるや中小企業が食べていくには十分な量です。べったりしておけば安泰です。

そんな関係ってまともな訳ないですよね。そりゃ酷い上下関係でした。

例えば、関係会社の人が風邪をひいて午前休だった時がありました。それでも午後から来たのですが、子会社のトップがその人の席まで行き「なんで来ないんだ!体調不良なんて許さん!!お前の会社の上司にクレームいれといたぞ!!覚悟しておけ!!!」なんて事もありました。

こんな感じで、良いも悪いもプロジェクトの成功なんて誰も見ずに、親会社のトップの顔色だけ窺って仕事をしている異常な状態でした。

第三勢力の登場

さてさて、プロジェクトの成功よりも親の機嫌。そんな状態でプロジェクトが進みます。

そこに新たな勢力が登場します。

テストを効率的に組織的に実施するための要員です。

そりゃそうですよね。当初のテスターはなぜかプログラマーになっています。

そして、そこに登場してきた企業は某外資系大手コンサル会社です。

トラディショナル日本大企業に外資が入ってきました。

混ぜるな危険です。

とは言え、この鬱屈した状況を変化させるのは、外資のしがらみのない連中なのかもしれない!!

そう期待するのは間違いでしょうか?いや期待せざるを得ない状況なのです。

クソみたいな事しか言わない外資のコンサル見習い連中

期待した私がバカでした。

外資コンサルの連中ですが、これがすごい集団でした。

コンサル見習いと言う位置づけらしく、「自分たちはコンサルとして業務効率を向上させるために日々戦う!」的な事は言うし、「私たちはコンサルタントとして、このシステムをよりよく改善する」とか言い出すし。

ちょっと待て!まずはちゃんとテストしてくれ!!書かれている事が書かれている通りに動くかテストしてくれ!!

そもそも君ら、その某コンサル会社でも行き場所無くなって、ここに出されてきてるんんだぞ!?

もうなんか自分の立場をわかっていない夢見る少年少女たち(オッサンオバサン)でした。

そして、一番焦ったのは某コンサルのトップが親会社のトップにすり寄っていた所でした。

結局外資と言っても、国内では日本企業と同じかよ・・・と思った瞬間でした。

結局4月1日のカットオーバーとなり、完全沈鎮火はGW開けだった

それでもプロジェクトってもんは時間が解決してくれます。

まぁ、いろいろとドラマがありましたけど、最終的には終わりました。

カットオーバーが伸びに伸びましたが。

2月上旬だったカットオーバーが3月頭に伸び、最後に4月1日となりました。

3月頭に納期を伸ばすときに親会社のPMがメンバーみんなの前でスケジュールを説明しました。その時に「今回の納期はギリギリです。ここまで終わらせないと私の部署は赤字になります。そうしたら皆さんの責任です。」

知るか!!

その後、さらにカットオーバー遅れましたからねぇ。大変でしたね。

そのほか、カットオーバー直後、7分でWebサーバーがダウンしたりとか。様々な伝説を残しました。

私はと言うとテスターで入りましたが、最終的にはリーダーとしてチーム回してましたよ。

炎上プロジェクトに参加した時に読んで欲しい記事
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しがらみなかったのも良かったのかもしれませんね。好き勝手に動いてました。

親会社のPMが剛腕すぎた

ある打ち合わせの場です。なかなか進捗が上がらずにどうやって生産性をあげるか議論している会議の場です。各リーダーが「あーだこーだ」「こういうやり方が良いんじゃないか?」「こっちの方がいいんじゃないか?」と御前で口角泡を飛ばす議論です。

ここで言い放った一言が最高すぎました。

「あなたたちは私の言う事を聞けば良い」

めちゃくちゃパワーワードだと思うのですが・・・

当時、この発言を聞いたときは「この人すげぇな、マジで自分の事を神だと思ってんだな」と感じたもんです。

でも、今考えれば、議論していたリーダーも顔色を窺ってばかりの連中でした。一生懸命議論しているようで中身のない、「私は頑張ってます!」と御前にアピールする連中ばっかりだったのは確か。

そんな彼らにビシッと言ったんだと思います。

でも、その発言はねーなw

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