IT系の開発部隊を管理する立場にあるのですが、今後は現場管理をしつつも顧客接点を増やしつつ案件を作り出す事もしていく、いわゆる営業活動をしながら事業拡大をしていきたいと思っていました。しかし、技術者あがりなので営業職は右も左もわからない状態です。
と言う訳で営業職に関する勉強をしなければと、まずはこの書籍を手に取った次第です。
「空気」とは
購入までに至る意思決定プロセスは、すべてのお客様で論理的に行われている訳ではなく、場の「空気」によってバイアスがかかって論理的ではない意思決定が行われている言う。
たとえば、映画館のポップコーン。多少、値が張ったとしても購入してしまう人が多いはず。これは「映画をみながらポップコーン」と言う公式が頭の中に存在して、ついつい買ってしまう。この公式の様なものがバイアスとなっている言うのです。
たしかに経験あります。この事を論理だって判断するのであれば、「自分は映画を見に来た。おなかは多少すいている。ポップコーンを売っているが、他で買うより値段が高い。ここで無理をするよりも、映画を見終わった後に買えばよいだろう」となる。
「映画を見ながらポップコーン」この論理的に成り立たない、へんちくりんな空気によって人がポップコーンを購入する意思決定をしてしまっているわけだ。
ジョブ:空気操り士
ゲーミフィケーション的に考えると本書は空気操り士と言うジョブ(職業)を取得するための本と言えるであろう。
アビリティ(能力)
この書籍から得られる空気操り士のアビリティは次の3つだろう。
仲良くなる
お客との友好度をあげ、”仲良し”の空気を作る。
顧客との単純接触回数を増やし、顧客に対する有効度を上げる事が出来るアビリティ。
その気にさせる
なかなか判断が出来ない顧客の購入意思を上げる、”その気にさせる”空気を作る。
「他の人も買っている」やミラーニューロンを駆使し自分と同じ感情を持たせる事により、なかなか判断できない顧客に対して購入意思を上げられるアビリティ。
理路整然
空気に影響されない顧客に対して、友好的に営業活動をする事が”理路整然”の空気を作る。
まれに存在する空気に影響されない顧客に対して、有効的なアビリティ。感情に訴えかけるのではなく、理路整然とした空気を作り出す。
顧客の属性
顧客の属性によりは各アビリティの使い分けをする必要がある。使い方を間違えると、ヘイトをあげてしまい、売れなくなってしまうので注意が必要となる。
自燃客
自燃性のお客は、空気の影響をもろに受けます。論理的な判断ではなく場の空気で判断している典型と言えるでしょう。この手のお客には「仲良くなる」が効果バツグンです。仲良くなり大切にしてあげる事で「好意の返報性」もあいまってどんどん発注してくれる良客となる。
逆に「理路整然」を使うと逆効果となる。特に仲良くなる前に淡々と論理的に説明されると「いきなり営業するのか!」と、最悪怒り出す可能性もあるとの事。
可燃客
2:6:2の法則で言うと、6割の人間に相当するのが「可燃客」です。空気の影響を受けながらも、論理的な思考も持ち合わせています。「何となく欲しいとは思うけど・・・決め手が欲しいなぁ」など、決めきれない客をイメージすればわかりやすい。日本人の典型。
この手の客は「仲良くなる」の後に「その気にさせる」が効果バツグンとなる。自燃客は「仲良くなる」が成功するだけで、ドンドンと購入してくれる様になるが、可燃客は「う~ん」となる事が多い。そこで、「他の方も購入してますよ」「○○さんもいいなぁと言ってましたよ」とあまり論理的ではない”多くの人が利用しているから安心”の様な空気や、場合によっては「もう決めてしまいましょう!これが最後のチャンスです!!」など、ごり押しの営業で購入する空気を作り出す事が重要となる。
不燃客
もっとも空気の影響を受けないお客。
仲良くなろうが、その気にさせようが常に論理的な判断を行うのが不燃客です。最も有効なのが「理路整然」です。いきなり「理路整然」を使っても不燃客が必要だと思うものは購入します。必要なければ購入しません。もっとも厄介な感じがしますが、もっともわかりやすいとも言えます。
「仲良くなる」は友好度は上がるのですが、友好度が購入意思に影響を与えないので意味がありません。徒労です。
「その気にさせる」は逆効果です。論理的ではない空気を醸成されると居心地が悪くなるのです。
総評
なるほど。こうして見てみるとなかなかわかりやすいし、自分が客として考えた時にも当てはまるなぁと。お客に対してこういう属性で分類してみてみる事はすごく大切な気がします。見分け方を極めて空気を操れる「空気操り士」を目指していきたいと思います。
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